石田 初男氏

<略歴>
同志社大学産業化学修士号を取得
ケースウエスタンリザーブ大学にて巨視的分子工学の博士号を取得
現在、ケースウエスタンリザーブ大学巨視的分子工学教授


主業績
・複合材料の境界面の研究で、The Edwin P.Plueddemann Award受賞
・最近ではシニアサイエンティストに贈られるThe Alexander von Humboldt AwardをドイツHumboldt財団より受賞
・接着/接合協会より、The Excellence in Adhesion Award受賞
・純ポリマー化学の分野においてPEL Associates Award受賞

The Best Paper Awardをプラスチック工業協会(SPI)より三度受賞
顕著な学会論文に対して、Modern Plastics Magazine AwardをSPIより二度受賞
The Outstanding Conference Paper AwardをSAMPEより受賞

国際的な教育への貢献に対してアメリカ化学協会からGlobal Salute to Polymers Awardを贈られる
SAMPEの74人のフェローの一人
物理・化学研究所(RIKEN)からEminent Scientist に選ばれる。

10編の出版物、15編の特許、そして370編以上の論文がある。
The Journal of Adhesion及びMaterials Science and Engineering Aの 編集委員であり、Composite Interfaceのチーフ編集委員、Polymers and Polymer Compositesの提携編集委員でもある。

講演内容:
 新しいポリマーの商用化はますます困難になってきており、ここ2、30年ではほんの一握りのポリマーが利用されてきたにすぎない。本講演では様々な分野への適用が期待できる非常に高いポテンシャルを持った新しいレジン開発への試みについて述べたい。この新しいポリマー、polybenzoxazinesは新世紀始まって初めて商用利用されるポリマーであり、世界中で活発的に研究開発が行なわれてきている。Polybenzoxazinesは、ポリマー化の際にほとんど収縮しない、水分吸収率が非常に低い、燃焼してもほとんど燃え残り、消火剤を加えずとも火が消えるといった、一般的にはは見られない特性を示す。また Polybenzoxazineは従来に例がない程柔軟な分子設計が可能であり、このことにより構造、材料の設計が可能となる。
 これらのレジンから作られる複合材料は非常に優れた機械特性を持つ。本レクチャーではレジンの合成、一般的な特性、優れた特性を有する分子的な要因についても説明する。また、電気材料や機能的超分子ナノ構造といった、いくつかの適用可能分野における適用例についても説明する。Polybenzoxazinesの適用に関連して、大型風車のタービンや、カーボンナのチューブといった今現在の話題についても触れる。